中国のMZ世代、「偽妊娠腹」で臨月の写真撮影
妊娠していない若い未婚女性が臨月写真を撮影する新たなトレンドが中国のSNSで広がっている。シリコン製の偽妊娠腹を装着し、妊婦のようにお腹を撫でながら撮影する姿が注目を集めている。
先月22日(現地時間)、香港メディアの「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」によると、中国で臨月の写真撮影が新たなトレンドとなっているという。
伝統的に未婚の母は中国文化で恥とされてきたが、最近では未婚のまま偽妊娠腹を装着し、臨月の写真を撮るZ世代の女性が増加しており、これが既存世代に衝撃を与えている。
引用:中国版TikTok「抖音(ドウイン)」
同メディアは、若く美しい時期に人生の重要な瞬間を記念したいという願望が背景にあると説明した。女性たちは、実際に妊娠してから撮影するよりも、若いうちにあらかじめ撮影しておく方が良いと考えているようだ。
「事前マタニティフォト」の流行は、中国中部湖南省出身で570万人以上のフォロワーを持つZ世代インフルエンサー「メイジガガ」の動画投稿がきっかけで注目を集めた。
先月13日、メイジガガは自身の臨月写真を公開し、「まだスリムな体型だけど、偽妊娠腹を着けて将来を先取りし、楽しんでみた」と説明。さらに「親友と一緒に撮影した」と明かした。
中国のオンラインコミュニティでは、事前に臨月写真を撮影する人が増えている。26歳の女性は「23歳の時にすでに撮影を済ませた」と語り、別の女性は「30代になると顔にシワが出るかもしれないので、22歳で撮影した」と述べた。
このように偽妊娠腹を装着して臨月写真を撮影する女性が増える中、オンラインショッピングモールでは妊娠初期、中期、後期に合わせた多様な質感やサイズの偽妊娠腹が販売されている。
「妊婦の外見への不安助長」との指摘も
しかし、これらの写真が「白くて痩せて若い」という美の基準を強調し、妊婦の外見や体型に対する不安を煽るとの批判も寄せられている。
あるネットユーザーは「こうした写真は、女性が妊娠中もスリムな体型や若く美しい顔を維持すべきだという非現実的な期待を助長している」と指摘した。
一方で、他のネットユーザーからは「それなら70歳の誕生日写真を今撮っておくべき」「遺影も若いうちに準備しよう」「若い頃の写真がないと、年を取ってからデーティングアプリに使えない」といったコメントも寄せられた。
一方、SCMPは、この現象が中国で続く低い結婚率と出生率の減少傾向を反映していると報じた。中国民政部の統計によると、2024年1月から9月までに婚姻届を提出したカップルは475万組にとどまっている。