敗血症患者に腸炎薬を処方した医師、最高裁は「無罪」と判断
敗血症患者に一般的な腸炎薬を処方し、その結果、患者を死亡に至らせたという容疑で起訴された内科医が、最高裁で無罪判決を受けたことが明らかになった。
17日の韓国の法曹界の報道によると、最高裁第1小法廷(主審シン・スッキ裁判官)は業務上過失致死の容疑で起訴された医師A氏に対する原審の有罪判決を先月25日に破棄し、当事件を昌原地方裁判所に差し戻した。
慶尚南道の某病院に勤めている内科医A氏は、2016年10月4日午前、腹痛を訴える患者B氏に腸炎薬を処方し、一般的な治療のみを行い帰宅させた。しかし、翌日B氏は敗血症性ショックにより死亡したことが分かった。これにより内科医A氏は、適切な治療を行わなかったという容疑で起訴されたのである。
当時、A氏はB氏に対して血液検査・超音波検査などを実施したが、白血球数が正常値より高い以外に特異な所見はなかったという。
B氏は同日夜、症状が悪化したと訴え、再び救急外来を訪れた。
しかし、B氏はここでも別の医師から腸炎関連の治療のみを受けて帰宅した。その結果、翌日午後に心停止状態で救急搬送され、死亡に至ったという。
B氏の死因は敗血症性ショックによる多臓器不全であると確認された。
第一審、第二審とも執行猶予付き懲役刑を宣告
検察は、A氏が患者の状態を適切に把握していなかったとして、過失があると判断し起訴に踏み切った。
そして、第一審、第二審とも有罪と認定し、執行猶予付きの懲役刑を宣告したという。
しかし、最高裁は異なる判断を下した。最高裁は「被告が被害者の消化器症状と痛みの原因を急性腸炎と診断したことは『臨床医学分野で実践されている診断水準の範囲』を逸脱しているとは言い難い」と指摘したのである。
さらに「被害者に敗血症性ショックなどの症状が現れ、一日で死亡に至るほど急激に悪化することを予見するのは困難なことである」として、医療過誤を理由にA氏を処罰することはできないと判断したという。
A氏がB氏を診察した時点では、バイタルサインが安定していたため敗血症を疑う状況ではなく、B氏が再び救急外来を受診した4日夜に適切な処置が行われるべきだったという韓国医療紛争調停仲裁院の鑑定書が重要な根拠となった。
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