AIモデル、VOGUEのファッション広告に登場し論争
ファッション業界に新たな風が吹いている。「VOGUE」のアメリカ版2025年8月号では、AIで生成された仮想のモデルが広告に起用され、ファッション界と消費者の間で激しい論争が巻き起こっている。
7月31日(現地時間)、海外メディア「CNN」の報道によると、衣料ブランド「GUESS」は最新キャンペーンでAI生成モデルを採用したという。
この広告は、金髪の白人女性モデルがストライプのワンピースを着用し、バッグを手にして明るく笑う姿を捉えている。広告の下段には、小さな文字でAIモデルである旨が記されている。

この広告が公開された後、SNSを中心に批判が殺到した。特に多様性と包括性を重視する今のファッション界において、実在しないAIモデルを大手ファッション誌の広告に起用した点が問題視されている。
TikTokでは「これから実在しない人と比べなければならないのか」という声が上がり、その投稿は6万7,000以上の「いいね」を獲得し、多くの支持を受けた。
一部の消費者はVOGUEとGUESSに不買運動を呼びかけた。一方、VOGUE側は「AIモデルが本誌の編集記事に登場したことはない」と釈明しているが、2023年のVOGUEのシンガポール版では既にAIで作成したアバターが表紙に起用されている。
GUESS側はCNNのインタビューに応じなかった。
広告制作を手掛けたAIマーケティング会社「Seraphine Valora」の共同創設者、ヴァレンティナ・ゴンザレス氏とアンドレア・ペトレスク氏は、本件論争が過剰であると主張している。
ペトレスク氏は「我々は依然として実在モデルを起用している。AI画像は実在モデルのポーズや衣服のフィット感を基に生成される」と説明した。
AIモデルの制作過程と産業への影響
今回のGUESSキャンペーンは、共同創業者ポール・マルシアーノ氏が複数のAI試案の中から、金髪モデルの「ヴィヴィアン」と黒髪モデルの「アナスタシア」を選んだことから始まった。
そのうちヴィヴィアンの広告起用がオンラインで大きな話題となった。

制作過程では、実在するモデルがGUESSの衣服を着用して撮影に参加し、そのデータを基にAI画像が作成されたと伝えられている。
ペトレスク氏は「AI技術の活用により時間と費用が削減され、ブランドにとって効率的だ」と述べ、「『Seraphine Valora』は、予算が限られていた時期に自社制作のAIモデルで高い反応を得た」と明かした。
AIモデルは、GUESSのみならず「MANGO」や「LEVI’S」など多くのグローバルブランドで採用されている。MANGOは10代向け広告にAIモデルを使用し、LEVI’Sは様々な体型と肌色に対応するため、AIモデルの実用実験を進めている。
しかし専門家は、この傾向がモデル業界だけでなく、写真家やメイクアップアーティストなどファッション全体の雇用を脅かす可能性があると懸念している。そして、AIモデルが主に白人中心の美意識に基づくため、ファッション界の多様性推進を阻害するとの批判もある。
これに対し、ペトレスク氏は「技術的な制約はなく、クライアントと大衆の反応を反映して制作した結果である」と釈明した。