
フランス・パリの名門大学を卒業した世界的彫刻家と偽り、韓国・慶尚北道青道(キョンサンブクト・チョンド)郡や全羅南道新安(チョルラナムド・シナン)郡ハウィ島などに彫刻を設置し、約22億ウォン(約2億2,880万円)を詐取したとして、70代男性に実刑判決が下された。
大邱(テグ)地方裁判所刑事12単独(裁判官オ・ジェウォン部長)は20日、特定経済犯罪加重処罰法違反などの容疑で起訴されたチェ被告(71)に対し、懲役2年6か月、執行猶予4年を言い渡すとともに、保護観察と社会奉仕120時間を命じた。
青道郡などによると、チェ被告は2022年、慶尚北道青道郡に「パリ第7大学を卒業し、海外で教授を務めた世界的彫刻家だ」と偽り、彫刻20点を設置。その対価として2億9000万ウォン(約3,016万円)を受け取った。
しかし、調査の結果、パリ第7大学卒業や海外での教授歴といった経歴はすべて虚偽であることが判明。実際には小学校も卒業しておらず、鉄工所や木工所などで働いていたことが明らかになった。さらに、常習詐欺の前科もあった。
青道郡に設置されたチェ被告の作品は、中国から輸入された偽物だったことが明らかになった。
チェ被告は2018年にも新安郡で同様の手口を用い、天使像など318点の彫刻を設置し、19億ウォン(約1億9,760万円)を詐取していた。新安郡によると、彼は「ノーベル賞を受賞したキム前大統領の故郷であるハウィ島を天使の島に変えたい」と提案。この提案を受けた新安郡は、ハウィ島の芸術作品設置全般を彼に任せた。
しかし、3億ウォン(約3,120万円)をかけて設置された天使像など、ほとんどの彫刻が中国製であることが判明した。

裁判所は「青道郡の郡守や担当公務員に対し、自身の学歴や経歴を偽って申告するなど、犯行手法が大胆である」と判決理由を述べた。
ただし、新安郡の件については「(虚偽の)経歴や学歴などが契約締結に影響を与えたとは認められない」として無罪を言い渡した。
なお、チェ被告の作品は、ソウル・江南区の大治洞聖堂や金大建神父の墓所など、韓国カトリック教会の主要な聖堂や聖地にも設置されているという。