ウィゴビ・オゼンピック、ダイエット以外の多様な効果を確認

ある男性が「肥満治療薬」ウィゴビと「糖尿病治療薬」オゼンピックに含まれる成分によって、肥満の改善だけでなく、10年以上続いた「依存症」からも抜け出せたと報告し、世界的な注目を集めている。
18日(現地時間)、英メディア「ザ・サン」は、「医学症例報告誌(Journal of Medical Case Reports)」が発表した報告書をもとに、オゼンピックとウィゴビに使用される成分「セマグルチド(semaglutide)」が多様な効果を持つと報じた。
報告書によると、症例として紹介された男性A(52歳)は、15年間にわたりコカイン依存症に苦しみ、体格指数(BMI)が35.4に達する高度肥満患者だった。A氏は過去にさまざまな治療法を試したものの、成功には至らなかったという。
ところが、12週間にわたり毎週セマグルチドの注射を受けた結果、13kgの減量に成功。さらに、コカインへの依存症状も大幅に減少し、コカイン依存度指数は5.6から2.3へと約60%低下した。
セマグルチド、食欲と報酬系中枢に作用
研究を主導したヴィンチェンツォ・マリア・ロメオ教授は、「この症例は、肥満とコカイン依存症を同時に治療できる新たな方向性を示しており、非常に興味深い」と述べた。
米オハイオ州ケース・ウェスタン・リザーブ大学と米国立薬物乱用研究所(NIDA)の研究チームも、同様の研究結果を発表している。2017年後半から2023年初頭にかけてセマグルチドの使用を開始した約22万3,000人の米国の電子健康記録データを分析し、セマグルチド使用者は禁煙に成功する可能性が高いことを示唆した。
このほかにも、アルコール依存症状の緩和、過体重成人の心臓発作または脳卒中リスクの低下、いびきの改善、心不全症状の改善、生殖能力の向上、アルツハイマー病予防にも効果があるという研究結果が報告されている。
ウィゴビとオゼンピックは体重減少効果が顕著で「奇跡の注射」と呼ばれている。そんな中、これらの薬がさまざまな依存症治療にも効果を示すことが明らかになり、注目を集めている。今回のA氏の症例も、その研究結果を裏付けるものとなった。

セマグルチドは、脳の食欲および報酬系中枢に作用する。専門家によると、この注射は過食を引き起こす脳の渇望部位を標的にするため、さまざまな依存症の治療にも有効である可能性があるという。
A氏がコカイン使用を完全にやめたかどうかは不明だが、ロメオ教授によると、「彼のエネルギー増加と関節痛の軽減など身体的健康が改善され、自身の進歩に満足感を示し、自尊心と意欲が向上した」と伝えた。
また、ロメオ教授は「セマグルチドは肥満患者のコカイン使用障害の管理に有望な治療選択肢となる可能性がある」と付け加えた。
ただし、報告書では依存症治療におけるセマグルチドの長期的な効果を完全に理解するには、さらなる研究が必要だと指摘している。