米国が韓国・太平塩田の塩輸入を初めて禁止。
米国の税関・国境保護局(CBP)が、韓国の太平(テピョン
)塩田で生産された塩の輸入を禁止する措置を講じた。
先日3日、米国国土安全保障省傘下のCBPは「太平塩田の天日塩生産過程で強制労働が行われたという合理的な根拠に基づき、『輸入保留命令(Withhold Release Order)』を発令した」と発表した。

これにより、米国全土の港で太平塩田の塩の輸入が停止された。
米国が強制労働を理由に経済協力開発機構(OECD)加盟国の製品輸入を中止するのは、1994年の日本に続いて韓国が初めてとなる。
特に、韓国企業に対して米国政府が強制労働を理由に輸入禁止措置を取ったのは今回が初めてであり、国際的にも大きな注目を集めている。
障害者搾取が背景、国内の対応不備も問題視。
太平塩田の労働環境の劣悪さは、すでに複数のメディア報道で指摘されていた。
全羅南道(チョルラナムド)新安(シナン)郡増島面に位置する太平塩田は、韓国の天日塩の約6%を生産する国内最大の単一塩田だ。一部の生産業者が知的障害者を搾取し、「塩田奴隷」問題として物議を醸した経緯がある。
2022年当時、塩田労働の被害者であるパク・ヨングン氏はSBSの取材に対し、「他の労働者も早朝に逃げ出したが、見つかって激しく殴られた。自分も『海水を汲んでいて誰もいないからチャンスだと思って逃げ出した』」と証言した。
塩田を借りていた業者は、知的障害者に対する虐待と搾取の容疑で懲役5年の実刑判決を受けたが、実際に塩田で生産された塩を販売し、利益を得ていた太平塩田企業は特に制裁を受けなかった。
これに対し、韓国の人権団体は、障害者を搾取して生産された塩で企業が利益を得るのは不当だとして、太平塩田およびその塩を使用している食品大手企業に対する制裁を米国に求めていた。

一方、太平塩田側は、問題を起こした賃借人をすでに排除し、労働者宿舎の新設など再発防止策を進めていると述べている。
今回の米国による輸入禁止措置は、韓国最大規模の塩田で発生した人権侵害が国際的な問題として認識されたことを示している。
専門家は、今回の事態を機に、韓国企業が人権を重視した経営とサプライチェーン管理への意識を高めるべきだと指摘している。また、政府も脆弱な立場の労働者を保護するため、実効性のある監視体制を早急に整備すべきだとの声が上がっている。