内縁関係の女性と3,000万ウォンを巡り争った男性、告訴後に放火殺人

過去に内縁関係にあった女性に対して報復行為を行った60代の男性が、懲役35年の判決を受けた。裁判所は、被害者を殺害し他の人々にも被害を及ぼした行為について、「犯罪の手口が残虐で反社会的である」と非難した。
24日、法曹界によると、大法院(最高裁)第2部(主審 オ・ギョンミ大法官)は、特定犯罪加重処罰法違反(報復殺人など)および詐欺容疑で起訴されたA氏(64)に対し、懲役35年を言い渡した原審判決を確定した。
A氏は50代の女性と内縁関係にあったが、破局後に投資名目で受けとった約3,000万ウォン(約313万1,610円)を巡って争い、最終的に詐欺容疑で告訴された。
その後、捜査機関の調査を受けることになったA氏は、被害女性への恨みを募らせ、彼女が運営するダンスホールに向かい、自らの体に油をかけて火を放った。この火災により被害女性は死亡し、当時室内にいた他の人々も火傷を負った。
調査の結果、A氏は過去にも交際相手の女性に刃物を振り回したり、別の女性を監禁したうえで油をかけるなど、暴力や放火の前歴があることが明らかになった。これまでに傷害や放火、詐欺など複数の犯罪で処罰を受けた経歴もあった。
1審裁判所は、報復殺人の罪で懲役30年と、位置追跡電子装置(GPS)30年間の装着を命じた。さらに、詐欺の罪についても懲役2年2カ月の判決を言い渡した。
裁判所は、「被害者が自ら火を消そうとする姿を目撃しながらも放置して現場を去り、被害者が死亡または重傷を負うことを明確に認識していた」とし、「犯行自体が残虐で非人道的であり、深刻な反社会性を帯びている」と非難した。
過去にも恋人に傷害や放火…「社会からの隔離が必要」
2審裁判所も、A氏の犯行は単なる残虐性を超え、極めて反社会的であると判断し、懲役35年に刑を加重した。
裁判所は、「過去にも交際相手や配偶者に対して傷害や放火を繰り返し、詐欺罪でも処罰された前歴がある」とし、「長期間社会から隔離し、善良な市民の生命や身体、財産を保護する必要がある」と判示した。

A氏は報復殺人の意図や被害者を欺いた事実はないと主張し上告したが、大法院は原審判決が正当であると判断し、これを棄却。これにより、A氏の懲役35年の判決が確定し、法的責任を負うこととなった。