海外で拡大する「ブルダック」旋風…昨年の営業利益は過去最高へ
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海外市場で「ブルダック」シリーズの人気が急上昇している。ラーメンだけでなく、ソースそのものも注目を集めており、これを追い風にサムヤン食品は過去最高の業績を記録する見通しだ。
サムヤン食品の連結財務諸表によると、昨年第3四半期の営業利益は873億ウォン(約95億円)で、前年同期比101%増となった。売上高も31%増の4389億ウォン(約480億円)に達した。
サムヤン食品の1~3四半期累計売上高は、前年同期比44%増の1兆2491億ウォン(約1365億円)に達し、すでに昨年の年間売上高(1兆1929億ウォン、約1304億円)を上回った。累計営業利益は131%増の2569億ウォン(約281億円)を記録した。
第3四半期の業績好調をけん引したのは海外市場だった。同四半期の海外売上(輸出額)は3428億ウォン(約375億円)で、前年同期比43%増加し、全体売上の78%を占めた。さらに、第3四半期累計の海外売上は9638億ウォン(約1054億円)に達し、前年同期比で64%の成長を遂げた。
輸出の増加傾向が続く中、サムヤン食品の昨年の営業利益は初めて3000億ウォン(約328億円)を突破すると予想されている。エフ&ガイドによると、3社以上の証券会社のコンセンサス予想では、昨年の年間営業利益は3392億ウォン(約371億円)に達し、前年同期比129.9%の増加が見込まれている。
同期間の売上高は1兆6822億ウォン(約1840億円)で、前年(1兆1929億ウォン、約1304億円)より41%増加し、初めて1兆5000億ウォン(約1640億円)を超えると予測されている。
サムヤン食品は2016年から輸出拡大に本格的に取り組み、毎年過去最高記録を更新している。2017年に1億ドル(約153億円)、2018年に2億ドル(約306億円)、2021年に3億ドル(約459億円)、2022年に4億ドル(約612億円)、そして2023年には7億ドル(約1071億円)の輸出を達成した。
TikTokやYouTubeで「ブルダックチャレンジ」が話題となり、継続的な人気を維持していることも成長を後押しした。さらに、サムヤン食品は消費者に直接アプローチするグローバルマーケティング戦略を展開し、その効果が注目されている。
昨年5月、誕生日プレゼントとしてカルボブルダックを受け取り、感激して泣く少女の動画がTikTokで1億回以上再生されると、サムヤン食堂は少女の家を直接訪れ、プレゼントを贈るサプライズパーティーを開催。これが好感度を高めた代表的な事例だ。
さらに、デンマークでのリコール措置解除後に開催された「ブルダックスパイシーフェリーパーティー」や、世界5都市で約4万人が参加した「スプラッシュブルダック」キャンペーンなども好評を博した。
アジアを超えて、辛い味に馴染みの薄いアメリカやヨーロッパでも「ブルダック」の人気は拡大を続けている。最近、グローバル市場調査機関ヌメレーター(Numerator)が発表した昨年の消費者人気ブランド総括において、「アルファ世代(2010年代初頭~2020年代中頃生まれ)」が最も好むブランド第1位にサムヤンが選出された。
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現在、サムヤン食品は海外に生産拠点を持たず、輸出量のすべてを国内で生産している。しかし、「ブルダック炒め麺」の海外需要の急増を受け、同社は2014億ウォン(約220億円)を投じ、中国浙江省嘉興市に現地生産拠点を設立する計画を発表した。工場の完成は2027年上半期を予定している。
また、1838億ウォン(約201億円)を投資し、今年上半期の完成を目標に密陽第2工場を建設中だ。当初、生産ラインは5本で計画されていたが、輸出量の増加を受け、6本に拡大された。
サムヤン食品は、各市場に適した戦略を強化し、輸出品目の多様化や販売チャネルの拡大を図ることで、海外市場での成長をさらに加速させる方針だ。今後の展開が注目される。