タイ・バンコクで開催されているミス・ユニバース世界大会の事前説明会で、参加者たちが集団で退場する前代未聞の事態が発生した。大会の組織委員会の高位関係者の不適切な発言と行動が原因だった。

今月4日(現地時間)バンコクで行われたミス・ユニバース世界大会の事前説明会でミス・ユニバースのタイ担当理事であるナワット・イサラグリシル氏がミス・メキシコ代表ファティマ・ボッシュ氏を公然と叱責し、論争が始まった。
ナワット理事はボッシュ氏が組織委員会から参加者に求めた大会PR用のSNS投稿を行なっていないと不満を表明した。
ボッシュ氏は「メキシコ担当者と相談する必要がある」と答えたが、ナワット理事はこれを協力拒否と受け取った。彼は「もし、あなたがメキシコの責任者の言うことを聞くなら、あなたは愚か者だ」と言い、ボッシュ氏を公然と侮辱した。ボッシュが反論しようとすると、ナワット理事は「僕の話はまだ終わっていない。聞け」と声を荒げた。
これに対しボッシュ氏は「私には話す権利がある。あなたは私を女性として尊重していない」と反論した。状況が悪化すると、ナワット理事は警備員を呼びボッシュ氏を会場の外に追い出そうとし、彼女は席を立って出て行った。
この時、去年の優勝者であるミス・デンマークのヴィクトリア・キア・タイルヴィグ氏をはじめとする多くの参加者がボッシュ氏を支持し、集団で退場した。
デンマーク代表は「これは女性の権利に関する問題だ。このように処理してはいけない」と言いながら会場を去った。
ナワット理事は参加者たちの集団退場にもかかわらず「ここから出て行けば、残りの参加者だけでイベントを続ける」と強硬な姿勢を示した。
このすべての状況はオンライン生中継を通じて世界中に配信され、さらに大きな波紋を呼んだ。
論争が広がると、ミス・ユニバース機構は緊急声明を発表した。ミス・ユニバース機構のラウール・ロシャ会長は「ナワット理事が真のホストになることの真の意味を忘れてしまった」と批判し、彼の行動を「屈辱的で侮辱的かつ無礼な態度だ」と非難した。
組織委員会は「ナワット理事に対して権限剥奪などの法的措置を検討する」と発表し、大会運営のために国際幹部代表団を派遣した。

ミス・メキシコに暴言を吐いたナワット理事はその後、公式記者会見を開き涙を流しながら謝罪し、翌日の今月5日にはミス・ユニバース大会の開幕式が予定通り行われた。
ナワット理事は参加者たちの前で「誰にも傷を与えるつもりはなかった」と述べ、「皆さんを尊重している」と再度謝罪した。
ボッシュ氏は事件後のインタビューで「私たちは21世紀に生きている。私はメイクをし、スタイリングをし、服を着替える人形ではない」と述べ、「自身の立場を明確にした。彼女はすべての女性と少女を代表するためにここに来た」と強調した。
今回の事件はミスコンのファンや女性の権利団体から強い批判を受けた。多くの人々がナワット理事の行動を非難し、ボッシュ氏の勇気ある対応を支持した。
論争にもかかわらず、ミス・ユニバース大会は引き続き開催され、優勝者は11月21日に選ばれる予定だ。
